まるごとみんご

エンタメ大好きみんごが繰り広げる何気ない日常生活

Mr.ノーバディ

Mr.ノーバディ」を観た。

 

 

 

 

映画館で外国映画観るのは、実に1年3か月以上ぶり。久しぶりの字幕映画。そして、超久しぶりのアクション映画。別に、熱烈な外国映画ファンじゃないけれど、「久しぶり」っていうのはいつもよりも刺激度高め。

 

ポスターにもあるように、地味でさえない男が派手にキレる映画なのだが、序盤の冴えなさの描かれ方がとても好き。変わりばえのしない判で押したような鬱屈とした生活がめっちゃ伝わってくのだけど、小気味よいテンポで観ている方は結構楽しい。

中盤までにいかないうちにキレるきっかけが訪れるのだが、久々に体験する映画館でのバイオレンスシーン。大きなスクリーンに映し出される迫力と「音」の相乗効果、恐るべし!!臨場感、リアリティに思わず目をそらしてしまう始末。PG12の作品だから、そこそこにグロいシーンもあって、耳や脳が慣れるまでしばらく時間がかかったな~。映画館の音響、間違いなく進化している。

 

中盤から終盤にかけて、「ホームアローン」と「ダイハード」を足して割ったような、おかしげな仕掛けと死にそうな無双状態。いいテンポだ。

 

ところで、この映画では、「会計士」「監査役」「理髪店」が隠語として使われている気がする。ただのコードネームなのかもしれないけど、英語圏の人なら、この単語の意味するところがピンときたりするのだろうか・・・。深く楽しむには、その国のカルチャーとか言語まで含めた理解が欠かせないよな~と、大層なこともチラリと脳裏をかすめたが、多くを望まないワタクシは、現状でも十分楽しかった。あ、でもタイトルは原題の「NOBODY」の方が絶対にかっこいい。世の中にはダサい邦題が多すぎる。

 

ちなみに、主人公の冴えない男の父親役は、「バック トゥ ザ フユーチャー」のドクを演じた俳優、クリストファー・ロイド。彼の活躍も必見!

 

☆☆☆☆

 

首切り王子と愚かな女

首切り王子と愚かな女」を観た。

 

 

 

 

 

ポスターには「時代も場所も架空の王国を舞台にした大人の寓話」とあるし、ポスターやスポット動画もファンタジー色強めのデザインだけれども、涙なしには見られない深い内容だった。

 

テトリスみたいに縦横自由に動く掘りごたつの骨組みのような大道具。舞台を囲むように整然と並べられた小ブース。ユニークな構成が新鮮だった。舞台の左右、それから奥に、1メートル四方、高さが2メートルくらいの透明なブースが各4つ、合計12個並んでいて、各ブースには机といすが設置されている。机の上にはペットボトルのお水と台本らしきものが置かれていて、そのブースは演者の待機所のようになっている。自分の出番以外は、おおむね各自固有のブース内で固唾をのんで、舞台中央で展開される物語を見守っている。そのブースは、舞台袖のように客席から見えない位置に設置されているのではない。舞台を構成する要素として、どの客席からもしっかりと見える位置に置かれている。

開演5分くらい前から演者がそこに待機しているし、休憩時間残り5分くらいになると、後半戦に備えて役者が再び待機する。

 

役者は全編を通して、ほぼほぼ観客の視線にさらされていた。演者がまとう衣装は、黒か白。色のない世界では、人の感情がより鮮明に伝播するのか、没入してしまう。登場人物のすべてに共感してしまう。

シンプルで無機質な大道具と登場人物の鮮明な感情。そのコントラストが素晴らしいと思った。

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

SHOWTIME

SHOWTIME」を観た。

 

 

 「SHOWTIME」は、米倉涼子さんと城田優さんが手がけたエンターテインメントショー。米倉涼子さんは今年、「シカゴ」25周年記念として、ニューヨークのブロードウェイ、そして東京で「シカゴ」のロキシーを再演する予定だったとのこと。ところが、コロナ禍でやむなく中止に。それが発端(?)となって、関係者の熱い思いともにこのショーの企画がスタートしたそう。不屈の精神、あっぱれだ。

 

前半は、ミュージカル「シカゴ」「ピピン」「キャバレー」の楽曲を中心にパフォーマンスが繰り広げられる。「シカゴ」とか「キャバレー」が中心なので、衣装はとてもセクシー。ほぼ下着。男女ともに身体の肉付きが一目瞭然の衣装だ。「シカゴ」は映画も大ヒットしたし、ミュージカルは長きにわたり世界中で公演が行われている。今回、コロナ禍ということもあり、ステージ上の演者はほぼアジア系(多分)。メリハリの効いたゴージャスな外国人パフォーマーと比べると、華奢でエネルギー不足感は否めない。どうしようもないことだけど、体型が放つエネルギーイメージの差はあるな~と思った。だからこそ、華奢な体型の場合は、体型以外の部分から放たれるエネルギーの大きさがものを言う。動きのダイナミックさや俊敏さ、柔軟性や清潔感、神秘性、躍動感、歌声ののびやかさや清らかさとかね。

 

「シカゴ」みたいなシースルーや下着のようなセクシーな衣装は、しなやかな黒豹みたいな黒人パフォーマーがとてもすてきだと思う。過度にセクシーにならず、健康的でのびやかで野生動物のような生命力を強く感じる。というか、肌の色が明るい(白人とか、日中韓みたいな肌の色)と黒のシースルーって、セクシーさよりも滑稽さとか変態性が先行してしまう(気がする)。

逆に、ミュージカル「CATS」みたいに総じて華奢な猫たち(太ってる猫や体格のいい猫もいるけど)を演じる場合は、華奢な体型の方が軽やかでより猫に近い感じがする。今回のメンバーで「CATS」やったら、相当素敵だと思う!!

 

話が逸れた。魅惑のミュージカルのいいとこどりのような前半の構成。その中でも一番印象に残ったのが、スペシャルゲスト中尾ミエさんのパフォーマンスだ。とても朗らかでエネルギッシュ。観ているこっちまで思わず小躍りしてしまいそうなほどに、元気の感染力が高いパフォーマンスだった。表情がとてもチャーミングだし、ダブルのジャケットにハットというダンディーな衣装も、ゴールドのミニドレスもめっちゃよく似合っていた。ウィキペディアで調べたところ、中尾ミエさんは御年75歳、身長156㎝。年齢や小柄さをまったく感じさせないチャーミングなパフォーマンスにひたすら釘づけ。ステージ上の誰よりも一番エネルギーを感じた。かっこいい大人を目の当たりにするのは、本当に楽しいし、負けてられないなメラメラと闘志がわいて元気になる。

ちなみに、スペシャルゲストは中尾ミエさんと前田美波里さんの二人いて、公演ごとにどちらか一人が出演されるそう。前田美波里さん版も見たい!!

 

MCを挟んで、後半はバラード中心のパフォーマンス。アースカラー生成りをベースとしたシンプル&素朴な衣装。ナチュラルで飾らない感じ、そぎ落とされたネイキッドな感じがとても心地よかった。バックダンスも男女のカップルだけでなく、女性×女性、男性×男性の組み合わせもあって、多様性が感じられた。わざとらしさがなくて、穏やかな気持ちになる歌とダンスだった。

 

カーテンコールも含めたグランドフィナーレまで、とても素敵なショーだった。

 

☆☆☆☆☆

 

 

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女」を観た。

 

 

原作は森見登美彦さんの同名の小説。10年以上前にその小説を読んだが、独特の世界観がすごく面白かったのを覚えている。その後、アニメ映画も見た。で、今回舞台化されると知って、チケット入手。

 

すごいな。。。と思ったのは、主役の「先輩」のセリフ量。非モテ大学生のモノローグは、かなり膨大かつ早口。エネルギーの消費量は相当なものだと思う。

そして、もう一人の主役「黒髪の乙女」の可愛さ。原作を読んだ時の私のイメージが、そのままリアルになった感じ。話し方とか、歩き方がとてもいい。赤をベースにした衣装も好き。特に、「秋」の文化祭の衣装。大きな緋鯉を背負ったところとか、プリンセス達磨の衣装とか。「冬」のコートみたいなワンピースも素敵だ。

 

面白いなと感じた小説ではあったけれど、読んだのは10年以上前だし、映画を観たのも数年前。ストーリーはかなりおぼろげになっていたが、「春」の李白さんとの飲み比べのシーンや「夏」の古本市のシーンは、懐かしさを感じつつ楽しむことができたし、小説、映画、舞台と様々な形で接することができたのは本当に貴重な経験だなと思う。

 

ところで、役者さんって本当にカメレオンだなと常々感じるんだけど、今回もそれを再認識。パンツ番長を演じる玉置玲央さんだ。私の中では、最近のドラマ「恋する母たち」での蒲原繁樹役(蒲原まり(仲里依紗さん)の夫)、「シェフは名探偵」のショコラティエの印象が強かった。神経質、モラハラ、スカした感じのいけ好かない男だ。 だけど、この舞台では奇妙奇天烈で一本気なパンツ番長。しかもさらりと美しいバク転をキメるほどの抜群の運動神経。同一人物とは思えない・・・。思わず休憩時間に検索しちゃったよね、玉置玲央。

 

奇想天外で異様なエネルギーが充満する早口舞台なので、心身ともに元気な状態で鑑賞するのがおすすめ。

あと、この舞台、主役の「黒髪の乙女」を演じるのが乃木坂46の久保史緒里さんだからなのか、男性の観客が多い印象。たいていは圧倒的に女性の観客が多い気がするけど、今回は男性が過半数、6、7割を占めていた気がする。休憩時間のトイレ待機列も、なんと男性の方が大行列!!もともと男性の方のトイレは数が少ないせいもあるけど、なかなか遭遇しないレアケースにちょっとうれしくなりました。

 

映画とか舞台に一人で、あるいは男性二人で行きづらいっていう声も聞くけど、男女問わず一人で来てる人はたくさんいるし、幕が上がればあとは目いっぱい楽しむだけなんだから、「観たい!!」って思ったらとりあえずチケット入手に動くべし!

 

☆☆☆

 

 

 

フェイクスピア

フェイクスピア」を観た。

 

ふぇいく

 

 

 タイトルからも想像できるように、FakeとShakespeareが合体してFAKESPEARE。なのだけれど、単なるシェイクスピアのパロディを想像していくと、こてんぱんに打ちのめされることになる。愉快なタイトルからは想像が及ばない超絶巧妙なストーリー。その創造性、発想力にひれ伏す。奇跡のような演者のパフォーマンスにひたすら圧倒される。すさまじいエネルギーが惜しみなく放出されているステージだ。アートの爆発。心身の全部が痺れる。「すごいものを目の当たりにした感」は、ワタクシがこれまで観てきた舞台の中でもTOP5に入る。

 

 実はワタクシ、ちょうど一週間前にもこの舞台を観たばかり。その時は、重要な役どころの白石加代子さんに何らかの事情あるいはアクシデントがあったらしく、途中から台本を片手に演技をされていた。初見のワタクシは、それが演出なのか、トラブルによるものなのかは正しく判断できなかったけど、調和がとれているはずの舞台で、白石さんの片手にあった真っ青な台本は異質なものに見え、そこに気を取られてしまったし、本番中に台本を手にしながらの演技という異例の事態に、ざわざわと胸騒ぎを覚え、終始ひやひやしながら鑑賞していた。そんな風に、集中力を切らした感じで鑑賞していたのだが、終盤で思いもよらぬ展開になり、荒唐無稽と感じていた展開がビタッと合致。その瞬間があまりに衝撃的だった。

 

 その帰り道、ツイッターで「フェイクスピア」「白石加代子」を検索しまくったワタクシ。台本を手にした演技は何らかのアクシデントだと知り、ますます心配になった。しかし、翌日以降は何事もなかったように、台本なしで元気に演技をされている様子だったのでものすごくほっとした。と同時に湧き上がる「また観たい!!早く観たい」欲。次は最初から集中して、張り巡らされた伏線を感じ取りながら鑑賞したい!!何としてももう一回観る!!その思いが爆発して、2回目のチケットゲット。。。

 

 これほどまでのリピート熱を感じた演目は初めてだと思う。アクシデントで集中できなかったというのもあるけど、一番大きいのは、荒唐無稽と思っていた流れがビタッっと合致する瞬間の衝撃だ。体感できることなんて、滅多にないと思う。役者さんの化け物級のパフォーマンスと相まって、とんでもないことになっている。観てよかった、、、、本当によかった。

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

HOKUSAI

HOKUSAI」を観た。

 

 

 

この映画の素晴らしさは、音と役者の演技だ。

 

音が本当に心地いい。

そよ風、夏の日の蝉の鳴き声、夜の虫の声、野鳥のさえずり、紙を走る筆の音、紙に塗料が落ちる音、、、

音の表情が実に豊か。蝉の鳴き声一つとっても、ひぐらしやつくつく法師は暑さだけでなく、夏の終わりの柔らかな空気感、夕方のここちよい風がさら~っと吹きつけてくる感じとか、音だけでなくその場の雰囲気や空気感、季節感までしっかりと感じられ、同じ空間に一緒にいるような感覚だ。

 

役者の演技も素晴らしい。

セリフが少なくて、必要最低限のことしか発していないくらいの印象なのだが、正に「目は口ほどにものを言う」。役者の演技が、目が、様々なことを物語っていた。

 

アート、エンタメが随所で爆発している。元気が出るし、すさまじい生命力を感じる。

アートは強く生きるのに不可欠な要素だと再認識する映画だ。存分に堪能するためにも、絶対映画館で観るべしメラメラメラメラ

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

いのちの停車場

いのちの停車場」を観た。

 

 

 

石川県で在宅医療を行っている診療所に勤める女医が主人公の映画だ。

患者さんとそのご家族の事情や考え方はそれぞれで、「こういうケースもあるのか」と新たな発見を伴いながらの鑑賞だった。

 

病気になるのが自分だったら、家族だったら・・・

置かれた立場によって、何が一番望ましいのかは違ってくるはず。誰かに極端なしわ寄せが行くことなく、病気と闘ったり、付き合ったりしていくことができるのが理想だけど、行うは難し・・・。病気は誰にでも起こりえる未来。普段、健康だとなかなか考えないことだけど、自分や家族が病気になった時にどうするか、それを考えるきっかけとなった。

 

この映画は情景がとてもきれいだと思う。

私が一番印象に残ったのは、診療所のみんなの行きつけのバー「STATION」だ。バーというには、あまりに居心地が良すぎるほどの、心のシェルター的な空間だ。天井(?)が大きな赤い唐傘のようなデザインで、赤い布越しにもれる灯りがとてもあたたかい。

 

 

他にも、印象的な情景がたくさんあって、ストーリーと相まって、しんみりと心の奥深くまで浸透してくるような感覚に陥る。

 

東京は緊急事態宣言下で、5月末までしばらく大きな映画館は休業してたから、約2か月ぶりで映画館で観た映画。再開が本当にうれしかった。

 

☆☆☆☆