まるごとみんご

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アバター

 「アバター」(3Dリマスター版)を観た。2009年に公開された映画だが、2022年12月に続編の「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」が公開されるにあたり、再上映されていた。

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 先日IMAXレーザー3Dで別の映画を見た際に、アバター最新作の予告編を見て、映像美と臨場感に圧倒された。公開したら観たい映画としてリスト入り。12月の公開に先駆け、このタイミングで第1作を復習できるのはまさに渡りに船。しかも、当時の映像をより進化させ、新映像の追加もある特別編だという。実にありがたい。

  第1作は公開時に映画館で見たのでストーリーは何となく覚えていた。とにかくそれまでに見たこともないくらいに美しくてリアリティのあるCG映像に圧倒された。生身の人間も出てくるシーンもあるのだがそういった場面の印象は相対的に薄く、主人公のジェイクが彼のアバターを駆使して、パンドラという惑星の原住民(ナビィ族)の生活に馴染んでいく過程、ナビィ族の族長の娘と恋に落ちていく過程のような、SFファンタジー要素のイメージが特に印象に残っていた。

 で、2回目の鑑賞となった今回、その印象は見事に覆された。「見事なまでに侵略映画だな…」それが今回の印象だ。

 そもそもジェイクがアバターを駆使してナビィ族に近づくのは、惑星パンドラの資源採取するという地球人が企てた略奪的なプロジェクト遂行のためだし、ナビィ族と親交を深めるのは資源獲得の交渉を優位に進めるためだ。ナビィ族と親しくなるにつれ、ジェイクは彼らの文化や生き様に理解を示すようになり、彼らの環境を率先して(リーダー的立場になって)守る側になるのだが、え~っ?散々悪だくみの糸引きをしていた人が、今さらナビィ族のリーダーとか何様なのか…と呆れてしまう。

 ジェイクは、プロジェクトに参加している大半のメンバーに資源の獲得を断念するよう説得することもできず、ナビィ族への寝返りによりプロジェクトチームの怒りを増幅させ、彼らをより強硬な手段に追いやっただけ…。プロジェクトチームは強奪のため、非道な破壊に打って出る。パンドラの美しい自然は見る間に壊され、彼らが心のよりどころとしていたご神木のような大木を倒してしまう…。そのシーンは現在のロシアを観ているようで本当に恐ろしい。

 結局はジェイクやパンドラの住民(ナビィ族だけでなく他の民族も含めて)が一致団結して抗戦し、地球人を撤退させることに成功する。平穏が訪れました…的ニュアンスで映画は終わる。

 ワタクシとしては全くもって「めでたしめでたし」ではない。もともと資源の獲得など企てず地球でおとなしくしていれば、パンドラは美しいままに保たれていただろうし、地球人の犠牲者もでなかったはず。勝手に侵略側として他の星に乗り込んで、攻撃と破壊の限りを尽くした人間側のジェイクが、心変わりをしたとはいえヒーロー扱い都ヒーロー扱い…。腑に落ちない…。お前さえいなければこんなことにはならなかったのでは…。忌々しさが色濃く残る映画だった。

 映画は観るタイミングや年齢、その時の心境によって、受ける印象が変わったりするものだけど、1回目と2回目の印象がこれほどまで激変した映画はほかにない。

 

映像は今になっても色あせず、昔と変わらず強烈に印象的で美しいが、全編を覆う侵略側の身勝手さにうんざりするので☆☆(星ふたつ)。