天外者
2021年、最初に観た映画は「天外者(てんがらもん)」。
江戸時代末期、ちょうど坂本龍馬が活躍したのと同じ時代に生きた五代才助(のちの五代友厚)の物語。
その五代を演じたのが三浦春馬さん。
幕末と言えば、坂本龍馬を筆頭に歴史上のヒーローがもりだくさん。
新撰組、薩摩藩、長州藩、勝海舟、土佐藩、会津藩、白虎隊、篤姫、、、、枚挙にいとまがないけれど、実はワタクシ、五代友厚についてはほぼ無知でした。岩崎弥太郎と並んで、明治を代表する実業家だったのですね。。。。
映画は、当時の混沌と熱さを感じる内容で、その勢いにつられて観ているこちらの熱も上がりそう。そういう映画やドラマを見るにつけ、どうしても今の政治家と比較してしまう。映画やドラマはデフォルメされてるし、今のリアルと比べるのは公平ではないかもしれない。でも、それを差し引いたとしても度量の差を感じずにはいられない。幕末の志士の活躍が100年以上経過した今も語り継がれ、今を生きる私たちにも大きな感銘を与えているように、今の政治家の中にも、100年後の未来でその活躍が語り継がれる人はいるのだろうか・・・・
そんなことを考えたりもした。
他には、音楽やキャスティング、エンディングの映像に妙なミスマッチを感じた。
五代友厚のイギリス海軍からの逃亡のシーンの音楽とか、「なんでこの音楽なんだろ???」って、その意図を知りたくなるほどに、ワタクシにとっては違和感満載だった。
それから、三浦翔平さん演じる坂本龍馬。ワタクシのなかの坂本龍馬は、ドラマ「JIN-仁-」の中で、内野聖陽さんが演じた坂本龍馬がデフォルトイメージ。三浦翔平さんだとどうしても線の細さというか、美しいお顔立ちが勝ってしまい、勢い不足(あくまでも個人的な印象だけど)。
極めつけは、エンドロールが終わったあとに、取ってつけたようなメイキング映像。ジャッキーチェンの映画でよくあるみたいに、エンドロール中にNG集が流れている演出じゃなくて、エンドロールが終わった後で、付録というかおまけのように流れたメイキング映像。主役を演じた三浦春馬さんが今も変わらずに生きていたら、あのメイキング映像は映画館で流されたのだろうか?三浦さんが今はもういないことを、ことさらに強調するような演出でちょっと凹んだ。
違和感の番外編としては、この映画のタイトルは「天外者(てんがらもん)」。でも、エンドロールのクレジットには“映画「五代友厚」制作委員会”と表示されていたりする。タイトルが最終的に「天外者」と決定するまでに、いったいどんな紆余曲折があったのだろう?思わずそんな疑問が浮かんでしまった。職業病だろうか?
いろんな意味で引っかかりの多い映画だった。
☆☆☆