騙し絵の牙
「騙し絵の牙」を観た。
同名の小説が原作となった映画だが、その小説は作者の塩田武士さんが、大泉洋さんを主人公にあて書きしたものだという。その特徴が存分に発揮された面白い映画だった。いい人、面白い人、食えない人、小賢しい人。その要素が絶妙なバランスで配合された大泉洋さん演じる速水編集長。最後まで観る者を飽きさせない。「食えなさ」加減では、小林聡美さんとリリーフランキーさんも実にいい塩梅です。スクリーンに映るだけで、ニヤッと笑いたくなってしまうあの感じはいったい何なのだろう・・・
ただ、違和感を感じたシーンがあったのも事実。そのシーンとは、速水(大泉洋)が勤務する出版社の役員会議だ。立派な会議室に置かれた重厚なチェアに座して、重厚なテーブルを囲む10人程度の仏帳面のおじさんたち。そこまではいい。しかし、会議にもかかわらず、彼らの前にはPCやタブレットどころか、紙の資料すら置かれていない。経営会議なのに、まっさらなテーブル。いくら旧態依然とした出版社の会議とはいえ、資料を閲覧するPCや書類、スクリーンの類が一切ないのには、さすがに違和感を感じた。
それとも、その演出には何か意図があるのか・・・。そんな気配は感じられなかったけど。
☆☆☆☆