まるごとみんご

エンタメ大好きみんごが繰り広げる何気ない日常生活

君の輝く夜に~FREE TIME、SHOW TIME~

君の輝く夜に~FREE TIME、SHOW TIME~」を観た。

主演は、稲垣吾郎さん。

 

 

夏の終わり。国道沿いにある海の見えるダイナー。宿も備えてある。その店のちゃきちゃきの女主人、10年前に恋人とした再会の約束を果たすために店を訪れた男、ちょっと訳ありげのシュッとした女社長、休暇で数日前から宿に泊まり、少年の夏休みみたいな夏を満喫している若い女性。この4人が繰り広げる物語。たった一日、ダイナーで一緒に時間を共有するお話だ。

 

たった一日ではあるけれど、とっても濃密で、心地のいい一日。押し付け感は微塵もないけど、自然と一歩を踏み出したくなるようなストーリーだ。夏の終わりにぴったりの、ちょっと切なくはあるけれど、爽やかな風が希望を運んでくるような雰囲気。今、まさにこの瞬間の季節感にぴったりで、どっぷりと感情移入できた。今年、ワタクシは夏らしいことは何ひとつできなかったけど、夏の終わり感はこのミュージカルとともに、たっぷり堪能した。

 

ワタクシ、もしかすると夏じゃなくて、夏の終わりが一番好きなのかもしれない。心地よい風が吹く中、いっときの獰猛なまでのギラギラ感を失くした太陽が、ゆる~く柔らかな夕陽となって海に沈んでいくあの感じ。切ないけど、優しい季節だと感じる。春の爛漫さとは異なる、少しの憂いを含んだ柔らかさ。つつみこんでくれるんじゃなくて、ただそっとそばにいるみたいな、絶妙な距離感。自然と余計な力が抜けていく感じが好き。

 

全体を通して、雰囲気がとても素敵なんだけど、ワタクシは特に明け方のシーンが好き。夜と朝の境目の時間。三谷幸喜の映画、「マジックアワー」では、日没後の「太陽は沈み切っていながら、まだ辺りが残光に照らされているほんのわずかな、しかし最も美しい時間帯」をマジックアワーって呼んでいたが、日の出前の空の色がじょじょに変わっていくほんのわずかな、しかし最も神秘的な時間帯」もまた、マジックアワーだと思う。お酒飲んで、夜通ししゃべって、力尽きてちょっとだけ横になって、マッジクアワーを共有する。その時の特別な感覚、多分みんな経験してるんじゃないかな。別に、恋人とセックスして朝を迎えたとかそんな色っぽい事情じゃなくても、友人だったり、旅先で出会った人だったり、同僚だったり。意気投合して夜通し話して、一緒に迎えるマッジクアワー。寝不足で疲れてるんだけど、心はとっても満ち足りた感覚。その感覚がリアルに蘇った。

 

吾郎ちゃんが演じる男性が、ちょっとプレイボーイで見栄っ張り。でも、背伸びするでもなく、自然体で素直でとても魅力的だ。歌声もチャーミングで、この物語の世界観にぴったりだと思う。

1幕と2幕の合い間の、SHOW TIMEもよかった。曲名は知らないけど、どこかで耳にしたことがある曲ばかり。おしゃれな衣装とダンスも素敵。あまりに素敵だったので、帰宅後にググってみれば、2012年、2014年、2016年、と3度に渡り上演された稲垣吾郎主演の舞台「恋と音楽」シリーズの一環なのだそう。もっと早く知りたかったな。

 

偶然に見つけたチケットだったけど、まさに一期一会。心に残る作品になりそうだ。

 

☆☆☆☆☆