若葉の季節
前回の日記にも書いたけど、実家に帰ってみた。
幸いワタクシの家も、家族も無傷で、ネコも元気にしていたけど、
ブルーシートで応急処置をしてある家が少なからず目にうつった。
そして、テレビでは絶えず放射線量に関するニュースが流れている。
東京と同じく普通にバラエティ番組が放送されてるんだけど、
画面の左側と下部のL字部分には常に放射線量のデータが表示されている。
比較的人口が多い中通り(福島市や郡山市がある福島県を縦に3分割した時の
そうは言っても、そこに住んでいる人の大半が、原発事故前と変わらずその地で生活している。
ワタクシの家族も、そのご近所も、親戚も、知人も、友人も。
みんな不安を抱えつつも、表面上はいつもと変わらない毎日を過ごしている。
みんな大きな不安を抱えているに違いないのに、気丈に普段と同じように生活している。
みんなそこで、その地で、生計を立てているんだから、
そうやすやすとその地を離れることなんてできない。
さらに、避難を余儀なくなれている人を思うと・・・。
ワタクシの母方のおばちゃんやおじの家族は、飯舘村に住んでいたんだけど、
結局仕事などの関係で、家族バラバラに別のところに移り住むことが決定。
おばあちゃんは三重の息子(=ワタクシのおじ)のところで暮らし始めた。
地震の被害はほとんどなくて、元気でいるし、移動先は自分の子供の家だから、
悲観する必要はないのかもしれないけど、
いつ戻れるのか検討もつかないままに、
それまでずっとずっと暮らしてきた土地を離れる時の想いは
想像以上にずっとしんどいのではないだろうか?
また、ワタクシの実家は農家なんだけど、この時期は種まきシーズン。
もしかしたら、作っても(放射線の量が高くて)出荷制限がかかってしまうかもしれないんだけど、
作ってみないことには判断すらできないから、とりあえず作ってみるんだって。
そんな指示があったらしい。
でも、そんな状況だから、種まきにも張り合いがないって両親は言っていた。
種を買うのにはお金がかかるし、種をまいたら肥料をやったり、除草したり、
水をやったり、いろいろ手間がかかる。
そうして手間暇かけて、ようやく実がなって、それを売って初めてお金が回収できるのに
それがかなわなかったら???
放射能が(ただちに健康に影響を与える量ではいわれてるけど)通常よりもはるかに高い中、
自分の健康の心配をしつつ、一生懸命がんばって世話をしたのに、売ることができなかったら???
そう思うと・・・・。
帰省中、相馬の方(海の方)に行く機会があった。
車から見える景色に言葉を失った。
全然海なんか見えないほど、海から離れているところなのに、
いきなりガードレールに乗り上げた船があったりとか、
灰色でヒビわれたガビガビの田んぼ(?)が一面に広がっていたりとか。
こんなところにまで津波が迫ってきたんだ・・・
っていう痕跡がはっきりと残っていて恐くなった。
福島を車で走っていると、
自衛隊や機動隊の車両に頻繁にすれ違うんだけど、
それに加えて、実にいろんな地域のナンバーをみかけた。
徳島、千葉、山梨、青森、三重、八王子・・・
全国津々浦々の車両が走っていて驚いたけど、なんかうれしかった。
そして、今は若葉の季節。
福島は結構高低差があるので、場所によって緑の色がまちまち。
わさ~ッと新緑が勢いよく生い茂っているところもあれば、
まだほんのりと淡い緑のところもあったり、
今まさに桜が満開のところもあったり、
山吹が鮮やかに咲き誇っているところもあったり、
芝桜や水仙やチューリップが民家の庭を美しく彩っていたり、
どこを見ても、どこに行っても本当に綺麗な景色が広がっている。
原発事故さえなかったら・・・・、そう思わずにはいられない。
本当に一日でもはやく収束してほしいし、
福島県民に対する露骨な、あからさまな差別はなくなってほしい。
放射能って目に見えないし、においも色もないうえに、
その実態もよくわからないから、不安になるのもよくわかる。
警戒する気持ちもよくわかるけど、あからさまな差別だけはやめてほしい。
ちなみに、写真はワタクシの実家から徒歩3分くらいのところ。
ね?いいところでしょ。
そして、ワタクシの実家の庭にあるリンゴの木には
今年もちゃんと綺麗な花が咲いた。
秋にはおいしいリンゴが食べられますように